2012年、青森の港で/番田 
 

誰もこの道を通るものはいない
帰りのおぼろげに浮かぶ道を思う
だけどそれは たどりつくには遠すぎる道
そして歩いていた この疲れ果てた体だけが


遠くに消えかけた防波堤 その縁に
黒い船がもうすぐ着く頃だろう やがて
対岸の 釧路に降り立ち
清掃の仕事に僕は従事する


公衆便所のその窓に
吹きすさぶ白い風景の 雪
月日が立ち止まる間もなく流れていく
そしてあの船で僕の体はまた運ばれていく


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