冬情/月乃助
 
ルビ許婚=いいなづけ}を想う
  冬は、冬の夜ならば なおさら
  思い出の/す ためにある


千代の冬
  暖炉のぬくもりに
  記憶の火の粉をちらし
  雪の野辺に立つ
  あの時の少女を
  焦がる


粉砂糖のような雪でした


林檎のほほ
  十七歳


時に限りなどありようもなく
  ただ、人の 命の
  囚われが身






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