バベルの塔の頂上で/yamadahifumi
僕もまた人並みに幸福になりたいのだが
僕の中の宿命がそれを許さないのだ
僕は幸福が恐ろしい
幸福になる事はいつも、次の瞬間にやってくる
深淵への落下を予測させる
だから、僕には不幸こそが似つかわしい
不幸は安心する 孤独でいると
人と離れ離れになる心配がない 他人の信頼を得続けるために
努力したり演技したりしなくて良いと思える
だが、しかし、今、この僕の書いたものを読んでいる『君』とは何か
それは僕の為に作られた一つの偶像ではないのか
僕はいつの間にか、自分に都合の良い君を創造してしまったというのか
僕の語る全ての
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