冬に立つ/ヒヤシンス
散り敷かれた落葉に半ば埋もれかけている公園のベンチが私に語る。
この人間の抜け殻のような落葉達のお陰で私は寒さをしのげるのだ、と。
お前はお前のその心を寒さから守ってくれるものを持っているか、と。
私は答えた。
未だ見ぬ友なら持っている。
ベンチは静かに頷いて、その暖かな心で自分に腰掛けるよう私に許した。
孤独なものだとばかり思っていたそのベンチはとても暖かかった。
湧き上がってくる感情を必死で堪え、眼前の海を見つめる。
冬の訪れを予感した海面が吹き荒ぶ風によってあらゆる表情を見せる。
風によって舞い上がる落葉たちはまるでバレリーナのようだった。
私はここで自分の体に
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