しあわせなこと/葉月桜子
 
しあわせなこと

疲れ果て家に帰れば 部屋は温かく
ただいまって言うと おかえりって返してくれる


夜 怖い夢を見て目覚めると 
となりには あなたがいて また眠ることができる

そんな毎日が 当たり前の日常だった


季節は巡りめぐる


春になれば 桜が空からおりてきて
悲しさを残していった

夏には キラキラ光る太陽を
本当は手でつかみたかった 2人で一緒に

秋は 葉っぱの色があんなにも美しく変わるけど
あなたはその色に気づかない

そして私は 木の葉たちの
季節のうたも聞こえなくなった
全てが狂って聞こえた

冬になると 雪の精が空からおりてきて
別の道を歩むよう告げた


また春はやってきて 
桜は空からおりてきて 私の頬に張りつくと
いつの間にか涙となった


もう頑張らなくてもいいよって
遠くから お母さんの声が聞こえた


しあわせなこと

目の前に 大切なひとが 
こちらを向いて 微笑んでる

その姿をこの目で見ることが 私たちにはできるのだから


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