冬の移りゆく寒さの中で/葉月桜子
朝 目覚め コーヒーを片手に空を見上げると
真っ白なカーテンの隙間から 冬になろうとしている風を通り抜け
真っ直ぐな日差しが 私を突き抜けていく
夜 あんなにも心はざわつき 心細くなるのに
朝はこんなに 穏やかで 街の動き出した音が
心の落ち着きを 取り戻す
はじめは ほんの少しの事で幸せを感じるのに
知れば知るほどに 醜い欲求は止まらず
近づくほど 好きになり
近づくほど 遠くに感じ
愛されるたび 過去を忘れ 温もりを感じ
愛されるほど 未来に怖さを覚える
先のことは 誰にもわからないけれど
今はただこの冬の移りゆく寒さの中で
君と手をつないでいたいだけ
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