生きの音/雨慈ムシ
 
柔軟剤のたおやかな香りに

青く火照った朴の空に

曇りガラスに散る光の粒に

惜しみなく降る情の雨に

萎れた紙に乗った言の葉に

甘い満足をくれたカップラーメンに

ビニールを被った埃臭いスーツに


私が昨日も生きていて
但し今日も活きて居らず

少し昔に貴方と違えて
ただ大昔には互えていて

儚くとも画面を抱く私は
吐かなくとも笑顔に触れず

生きて 生きて
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