記憶の光景/yamadahifumi
 
世界から自分を隔離する事にした

そして、そこでまどろんでいる内に僕はいつの間にか

おじいさんになってしまっていたのだ

そして、目覚めると、そこに人々はもういなかった

そこには人々の影は一つもなかった

人々の享楽と幸福はやがて大きな失望と絶望を生み

そして、それが他者への攻撃へとつながり、そしてその結果、世界は滅びたのだった

だがしかし、僕は「そうか」と一つ呟いただけで

また、自分の夢の中にそっと戻った

もう世界は滅びてしまったのだから

これからは安心してあの世界の事を愛せると

そう思いながら

全て滅びてしまったので、滅びてしまったものは深く愛する事ができる

人類も同様に

だが、その時、寝入った僕の夢に出てきた光景は

人類ともあの世界とも全く関係のない

僕自身の幼い日の記憶の光景だった


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