棺の蓋にはラッカースプレーでこう書いてくれ、「出来る限りの速度と力がそこにはあった」と/ホロウ・シカエルボク
でも早く貫けるように、気を緩めずに―生きている限り、一人の人間がうたう歌はひとつだ、俺はそう考えている、道具とは思考だからだ、それが堆積していく日常を貫くことが出来るんだ、思考するんだ、思考するんだ、思考するんだよ、思考することが速度に繋がる、思考することがエンジンに火をつけるのさ、一度でもタービンが回る音を聞いたら、そこで生まれる熱に身体を焼かれたら、もう逃げることは出来なくなるぜ、尻尾を巻いて居なくなったら、背中から炙られて燃やし尽くされるだけのことさ、俺は消し炭みたいになって終わりたくはない、消し炭みたいになって棺の中に入りたくなんかない、俺には分かってるんだ、貫けようが貫けなかろうが、一生
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