空人形/ふく
のでした
私の意志はどこにいるんだろう
黒いカーテンが見えなくなっても 私は一人でゆっくりとしか動けませんでした
あなたが優しく抱きしめていても それは変わりませんでした
でもあまりにも優しいので 私は安心する他ありませんでした
私の涙がとうにティッシュと消え 私が戻ってくるまでの間
ただ彼は抱きしめていました 無言で壊れかけた人を抱きしめていました
それは必死に切れかけた糸をつなぎ合わせるような
繊細な作業がわからない彼ならではの 素晴らしい行動でした
ようやく私の目が彼の目を見ました
私自身が体を制御し 彼を見ました
空も闇も空も 何も変わりはしませんでした
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