静かにしている/はるな
 
いソファの影に毛布とうずくまって静かにしている。
静かにしていよう。世界がそれを終えるまでは。

眠っていると、となりで眠る夫が、時おりわたしの腹部を撫でる。とてもやさしい、なつかしいようなやり方でそうするのでいつも目がさめてしまう。夫が、わたしをなでているのか、わたしの中の子供をなでているのか、わからないので混乱してしまう。でも、これはわたしの体なのに。
もっと、腹が透けて見えるとかだったらいいのにと思う。もっとちゃんと鋭く痛かったり、動いたりすればいいのにと思う。あんまり身勝手だと言われてもしかたのない考えをしながら、身動きのとれないままに撫でられて夜を見ている。わたしは境界のないこの状態に混乱している。


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