一番幸せだった時/yamadahifumi
 


音楽は奏で

詩は語る

誰もが沈黙を要しているが

誰もが饒舌を愛好している

誰もが批評家だが、「創作家」は一人もいない

・・・最近では、哲学者はみんな哲学研究者に還元され

科学者とは知の世界を探索する探求者ではなく

過去の理論をただひたすらなでさする存在でしか無い

あらゆる答えがウェブを通じて流れているので

人々は問いに触れる事ができない

一日三食満足に食べる事ができ、夜はぐっすりと安心して眠れるが

人は自分を「底辺」だと信じて疑わず、そして「上」に行けば幸せになると

本気で夢見ている

しかし、それは所詮、システムが僕達に見せた巨大な一つの夢にすぎない

この化物のような世界はそうやって、夢をダシにして僕達を搾取する

つまり、僕達の人生というもっともかけがえのないものを

・・・君は山頂から飛び降りてみたまえ すると世界が

逆さに写って見えるだろう その時、君は

自分が一番貧しかった時が一番幸福だった事を知るのだ


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