「変身」/月形半分子
 
散らして八本の足が音をたててはえた

気がつけば私は強い牙と毒をもっていた

カフカは笑った

「毒もたんまりとは悪くない!!」

そうだったのか、恐ろしい女!それが私!

カフカが私にまた問う

「恐ろしいほどに女!それもまたお前

お前の望む美とはなんだ!!」

毒虫の喉が血肉欲しさに鳴る。もはや私にとって美はひとつ。

「それは獲物」


床の上、私の腹に日が溜まり

やがてカフカも満足する白昼夢




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