美の棘・・・/tamami
 
知ってるよ分かっていたんだよ

澱んだ水溜りを眺め暮す日々に
虚ろう僕に刺激がチクリと刺す
刺激は香り高い真紅のバラの棘

灰色の低い雲が空を覆う日々に
虚ろう僕に刺激がチクリと射す
それは日々強くなる美の刺激剤

灰色のアスファルトに沈む日々
求める美の要求に餓え渇いた喉
途絶えた薬のように漂よう蜉蝣

それは静かに忍び寄りチクリと
僕を注し目覚めさせる美の刺激
美の棘は虚ろな僕に与えた息吹

少しだけ踏ん張らないことには
美の棘に気付きさえしなかった
美は愛に通ずることも分かった

忘れかけた時にも美の棘の刺激
知ってるよ分かっているからね
知ってるよ分かっているんだよ
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