沼に立つ/
因子
沼に立つ
沼のふちに立つ
黒ぐろとした水の
その下に何があるのか
考えたり考えなかったりしながら
今まで生きてきた
たった今も
これからもたぶん
時々手を差し入れる
私を決して拒絶しない
生ぬるい暗い水の中から
洗濯機から出したばかりみたいに
ずるずると生乾きの言葉たちが
よじれ連なり
私の手を汚しながら
悲しい顔をして
私はそうして
私の記憶を創造し
私の物語を創造する
そうして生きてきた
たった今も
これからもたぶん
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