6/きるぷ
 
くなる現実感だった

そういえばあの人とは
けんかをして会わなくなり、
以来あまり思い出すこともなかった

それから数年の年月がある意味でひとしく流れ、
そしていま、この投げ出されたような部屋と
明るいギリシャとのあいだを
大変美味しいタコのイメージが隙間なく埋めている

そう思うことは、
なんだか不思議だった

・・・

雨は降りつづき、
つよい風が雨戸を音をたてて揺らした

忍び寄ったなにかに執拗に見つめられている気がして、
ぼくは思わずそのほうをふり返った
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