「媚びるな、媚びろ」/宇野康平
安売りのつまらないゲーム後の虚脱感欲しさに
ベビーカーいっぱいに思い出の写真を詰めて、
夜が明けるまえに街灯の少ない我が街を練り歩
く。コンビニで売ってる勃起するドリンクは老
人ホームを不夜城に変え、流行に敏感なオシャ
レな若者が集う。
いつだって歩兵は老けても元気で、将校は誰よ
りも早く死んだ。歩け、歩く、歩け、歩く、歩
け、歩く。今より、より遠くへ。
ついに抵抗の無い肉体に諦観が支配する。子は
必死に伝えようとするだろう。親に話せど、
問えど無反応を返し、子はついに黙る。そのと
き親は「子育ての方法」を検索している!
媚びるな、媚びろ。
媚びるな、媚びろ。
媚びるな、媚びろ。
媚びるな、媚びろ。
媚びるな、媚びろ。
今より、より遠くへ!
《劣の足掻きより:http://mi-ni-ma-lism.seesaa.net/》
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