つきが流れる/かんな
 



宵のうみ
ひとり佇みけむりを吐く

存在に意味があるとか
たとえば価値があるとか
そういう
思考に飽きた

水面につきが流れている
清らなかぜとともに
ああ
じゆうだな

逃げ出せば
太陽に照らし出されるだろう
だから
夜が好きだ

冬に近づけば
絡める両手に温もりが帯びる
ああ
眠りたいだけなのだ

喧騒で
ひとりぼっちになるのなら
宵のうみ
ひとり缶ビールをすする

諦めなど
しないさ生きることを
ただ少し
ああ
休みたいだけ



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