少年が見た少女の原風景/西園 虚汰
 
きみは黄昏の中にいるような
非常に悲しげな表情をして
空虚な空間を見つめている
身体のどこにも力を入れずに

いつもは恥ずかしがって
服のしたに隠しているけれど
きみの背中には羽がはえていて
空を自由に飛ぶことができる

世界が崩壊するとき、また
僕が世界から疎外された瞬間、
きみは僕の手を引いて
地上96メートルの上空へと昇る

そのときに、僕は見る
きみの笑顔の奥に見える宇宙の果て
きみと一緒に手をのばす
宇宙の果てまであと3センチ
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