「勿忘草」 /夜月 こころ
黒い服を身にまとい ベールで顔を覆う
白い十字架が続く道 穏やかな表情 白い肌
貴方は今も 眠っているだけでしょう?
大事な宝物のように そっと触れる
大好きだった微笑み 長い手 切れ長の瞳
最期の口づけ 貴方の好きだった香水の香りがした
亡骸を埋めた 空の貝殻 大好きだった花束と一緒に
朝が来て夜が来るように 日常は優しく残酷に時を刻む
けれど私はあの日から ずっと時が止まったまま 動きだせない
貴方という存在を 失ってしまったから
午後の木漏れ日心は虚ろに
ふと響いた懐かしい メロディーを口ずさむ
あの日に帰れたら 私は前のように笑えるのかな
隣で貴方はそっと微笑む
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