好きなものから消えていく/クナリ
 
好きなものから順に消えていく

あなたのことなんて全然好きじゃなかった
好きな振りをしていただけだった
そうに決まっているんだった
だからもう
今さらわたしを見ないで

あなた無しではもう
生きてはいけないけれど
手に入れたあとで失ってしまったら
もう死ぬことさえできないでしょう

待っていて欲しいなんて
一言でも言いましたか
なぜそこにいてくれたのですか
声にもなりませんよ
困りますよ

早くどこかへ
ようやく影くらいは見えるようなどこかへ
早く
早く

ほら ようやく
どこかへ行った
影も見えないのは悲しいけれど

好きなものから順に消えていく
最後に残るのが私
胸をなでおろして
最後に残っている私。


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