起想録より/やなし
 
  (音を落とし いい枝ぶりの箱を手に持つ(注:拙環境ではnepiaの400枚))

美意識は差別に依ります
隔絶の中にこそ華はひらくのです
ああもしもあの暗くぬめった海が私の高台にまで押し寄せてきたら
花はたやすく折れることでしょう
ねずみはねずみの海に帰れ
私は毎朝残飯をぶちまけます海に
ねずみが居つくように
私は毎晩藁をそろえます海から
ねずみが目を覚まさぬように
麦よりむしり並べ立て
私を見ます前をゆくものは
いやらしい紐から目をそむけ
私を見ます前をゆくものは

  (暗転(注:箱が手に収まりきらなくなるまで))

私を見ます前をゆくものは
目をそむけ私を見ます前をゆき
私は見ません空を
今日も頭上より残飯

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