目覚めよと呼ぶ声ではなく/
佐々宝砂
夜更けにひとり目覚めていたり
残業のあと酒くさい終電にすわっていたり
まだ朝も暗い道を急ぎ歩いていたり
あるいは騒がしいファーストフードショップで
ふとお喋りがとぎれたり
そんなとき
いつも聞こえる声がある
言葉ではない
単なる声だ
だがただの音ではない
まさしく声だ
けれど
目覚めよと呼ぶ声ではなく
わたしはすぐ眠りにつく
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