天奏万里/クナリ
 


もう会わないと決めた時から
もう頭の中はあの人で一杯

好きだと言ってくれる人には
嘘をついていればそれでよかった

嫌いになってくれるから
でもあなたにはなぜか
嘘がつけずに

いるかもしれない人ごみに
いないあなたを探しては

伝えたい言葉を編み上げて
伝わらないことに救われる

いまいましさに任せては
唾をふいたら我が足に

いらいらしながらため息は
自分の頬を濡らすだけ

我が身の傷をさらしたら
もっと濃い闇を見せて慰めて

自分の恥もさらしたら
そんな君がいいんだと言ってくれ

言葉では伝わらないことを
言葉でしか伝えられ
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