天奏万里/クナリ
もう会わないと決めた時から
もう頭の中はあの人で一杯
好きだと言ってくれる人には
嘘をついていればそれでよかった
嫌いになってくれるから
でもあなたにはなぜか
嘘がつけずに
いるかもしれない人ごみに
いないあなたを探しては
伝えたい言葉を編み上げて
伝わらないことに救われる
いまいましさに任せては
唾をふいたら我が足に
いらいらしながらため息は
自分の頬を濡らすだけ
我が身の傷をさらしたら
もっと濃い闇を見せて慰めて
自分の恥もさらしたら
そんな君がいいんだと言ってくれ
言葉では伝わらないことを
言葉でしか伝えられ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)