秋の庭/遙洋
 


彼女についての記録、とは
その周辺に草木が茂っているとしか言えない
清冽であったことも激烈な事象も
すべて平面にねむる
おだやかさが尋常ではなくて
参照する意欲がわかない
わたしたちには何らかの物語が必要だと言うのに
例えばとりわけ美しくみえるもの、とりわけ涙をさそう文字を
さがして並べひとつの、逸話をつくる
蔓草に触れられながら土を見つめれば
そのことすらも無言に帰す、遠く先の時間に気圧されてしまう
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