夜の匂いを忘れてしまうまえに/ユッカ
 
夜の匂いを忘れてしまうまえに
早くしなくちゃ、って思ったんだ
玄関から一歩踏み出したときに

夜の匂いがするということは
昼間とてもあったかかったということかな
熱が土にたまって、それが噴き出したという気がする
もしそうなら、とても素敵

それが雨の予感だということに
そのときはまだ、気づかないまま
あたしはその空気を胸いっぱいに吸いこむ

残す、ということについて考える
何も残りはしないと知りながら
詩を書くということ

みんな考えるふりをしながら生きてるから
自己啓発の本を何冊読んでみても
携帯電話を握りしめたり、
車のハンドルを握ってみたりするのに

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