冬と檻光(十六の視花)/木立 悟
 
まれた径


凍りついたからくり
時計塔の千年
降り来る花にひらかれる
花咲くことのない茎の腕


ひとつのこだま
折れた階段
耳ふさいでも
響くこがね


壁を囲む鉄の柵
昼を歩く姿なきもの
風は音をしまい込み
冬に背を向け じっとしている


陽が戻り
午後に沈む街を照らし
鐘は鳴り 見張りは目覚め
ひとりの花の出発を
見逃すように見送ってゆく






















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