木枯らしに舞う枯れ葉よりも/草野春心
木枯らしに舞う枯れ葉よりも
宇宙はその日 小さなものだった
果物の冷めた肌のような けさの通り
横断歩道を渡っていく 面皰(にきび)顔の学生は
なぜ朝がきて夜がきて……やがてまた朝がくるのかしらない
鳥たちがどこで眠っているのか
じぶんがどこからやってきたのか
わたしもしらない
心が夢を形づくるのか
それとも夢が心を生みだしたのか
雲に隠された空は いつも青いのか
わたしの手を振り払って去った
あなたが ほんとうに 云いたかったことも
わたしはしらない
木枯らしに舞う枯れ葉よりも
愛は
その日
小さなものだったから
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