2/きるぷ
 
終電近くの私鉄に揺られながら
天使と呼ぶに相応しい存在を数えていた、

つまり地を這う目線から
多くを見ることを教えてくれた存在について

そして余りにも多くの天使たちが
空に落ちていったことを思い出しながら、
泣かずにはいられなかった、
酔っ払っていたに違いなかったが



泥まみれの天使たちが
軽やかな皮肉をリズムと結びつけたとき、

ぼくはうつくしいということの
ほんとうの定義をたしかに何度も手に入れたのだ

彼(女)はぼくとおなじように酔っ払い、
下品な言葉ばかりを口にし、
そしてぼく同様にくだらなくしかもげろを吐いた

でも天使がいるとするなら、
きっとそのようにくだらないのだ、
ぼくは酔っ払っているのに違いないのだが



終電近くの私鉄の窓の向こうで
あまりにも多くの天使たちが空へ落ちてゆく

酔っ払っているに違いないのだが、
どうしてそれを悲しまずにいられるだろう?
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