無題/メチターチェリ
 
恥ずかしながら私は文学を、身体に流れる血の一滴くらいに思っているので、小説などは家族見立てで評価が辛くなりがちだが、一方でロマンの派生形である優れた漫画やポップスなんかに出会うとわりと手放しに称賛してしまうのである。

今朝メガネが届いた。合成皮革の四角い箱を開けると、中から厚い黒ぶちのメガネが現れ、私はさっそくかけてみる。洗面所に立つと、どうしてなかなか、自分の顔が自分じゃないみたいに今時のおしゃれメガネだ。ネットでメガネを買うのは初めてだったけど、鼻の根の真ん中にきちんとフィットして、これでもうテカッたりカナッたりでずり落ちることもなくなるじゃん、なんてひとりで頭の中ではにかんだ。


[次のページ]
戻る   Point(3)