血が薄い男のバラッド/岡部淳太郎
く
らりらら
らりらら
妙な自己犠牲の精神を発揮して
頭の中で歌うたいつつ
いそいそと血を取られにゆきます
らりらら
らりらら
血が薄い俺は
(頭が ぢゃないよ)
夜に眠れなくなって起きていて
明るい昼には吸血鬼よろしく
陽の光が眩しくて眼を細めるのです
何しろ血が薄いので
(頭が ぢゃないよ)
どうしようもありません
らりらら
らりらら
歌うしかないのです
俺はとにかく誰が何と言おうと血が薄いのであって
(頭が ぢゃないよ)
その血の薄さのために
いままでの半生を棒に振ってきたのです
人と上手くつきあえず
自分の暗い詩の谷間に閉じこもって
美
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