俺はこれを選んだ(含まれる代わりに)/ホロウ・シカエルボク
 
苦茶にセンテンスをぶちまける時、本能はそれを思い出している気がする、脈打つ妊婦の腹に手を当てて名前の無い鼓動を確かめているみたいに…静かにブロウしているマイルスデイヴィス、鈍色の血ですべては満たされていく…生存とは皮膚に残された無数の引っ掻き傷から動脈に至るまでの深度を持つものだけを選択して見せることに相違ない、沈みゆく夕日だけの灯りに照らされたこの部屋に横たわる肉体には名前は無かった、戸籍上のそれがどんなものであろうと―それは思考する死体だ、死人的な詩人だ―もしも肯定というものに幾つもの罠を仕込むのがそいつの目的であるのならば…ひとつの言葉をひとつの意志で済ませたくないだけ、ひとつの言葉をひとつ
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