ことばの姿(的な)/乾 加津也
 
また冬か、たしかに
冬にはだれかの炬燵の生活(くらし)がある
それでも重心は、大都会のビルディングの隙間から
「6億円、買わなきゃ当たらない」という
電車のキャッチコピーにサラリーマンまみれだから
ほんとうの姿(ことのは)が見え隠れする

 おまえか
 それともおまえか

背後の敵を撃ち抜くヒーローならいいのに
ペンを磨いては
宙吊りの、的へ
(自立など、ないない)

まてよ、ほんとう
もともと姿などないのに
ぼくという生き物の脳から、感性が厄介にも(それもいくつも)目覚めて
あゝ、すてきな朝
ぼくの存在がそれを証明する唯一の手がかり、もう
闇夜を返して、と
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