にんげんに生まれなくてよかった/
ホロウ・シカエルボク
が近づく十月の終盤
おれは傘をさして彼等とすれ違った
かれらはとても大人しく
おれはずぶ濡れてささくれ立っていた
にんげんに生まれなくてよかったが
おれは
きっとあのふたりのように老いることは出来ない
この詩を
書いているいまは夜で
激しい風の音も
トタン壁を叩く雨の音も
もう
しなくなった
ただ人の声がして
ただ車が行き過ぎている
明日はひさしぶりに晴れ間も覗くらしい
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