にんげんに生まれなくてよかった/ホロウ・シカエルボク
 
が近づく十月の終盤
おれは傘をさして彼等とすれ違った
かれらはとても大人しく
おれはずぶ濡れてささくれ立っていた
にんげんに生まれなくてよかったが
おれは
きっとあのふたりのように老いることは出来ない
この詩を
書いているいまは夜で
激しい風の音も
トタン壁を叩く雨の音も
もう
しなくなった
ただ人の声がして
ただ車が行き過ぎている







明日はひさしぶりに晴れ間も覗くらしい








戻る   Point(5)