悲しみのデジャ・ヴ/龍九音
・・・ずっと・・・
黒い人たちの列が続く
おれは真一文字に結んだ口で後にする
ふと
呼び止められて・・・振り向くと
泣きはらした眼の人が立っていた
無言のまま渡された封書
住所のない名前だけ記された封書
無言のままその人は言う
「もらってやってください」
無言のままおれは答える
「確かに受け取りました」
涙で潤んだ瞳で短いやりとり・・・
その人は肩を震わせて背中を向けた
こんな光景を見たことがある
そんな気がした
短い手紙を読んで
「あほやなぁ おれも好きやってんぞ」
独りごちたその頬に涙が流れた
戻る 編 削 Point(1)