回想/梓ゆい
 
山手線から見える住宅街のテラスを遠くに

厚切りのミートローフを思い返す。

暗い路地を遠くに

音と植木のテラスを目指して上る坂の上には

友との語らいと味わいの時間が

一人きりの私を出迎える。

チョコブラウニーを切り分け

会話とポエトリーを耳にすれば

終ることは無いと思い込んだ分

終焉の時はより深くえぐりを残し

よりシンプルなテラスの姿を

もう一度山手線から追いかけた・・・・。

「ありがとう。決して忘れないよ。高田馬場ベンズカフェ・・・・。」

今ようやく

最後の一口を食べ終える・・・・。

戻る   Point(1)