箱庭の花/岩下こずえ
 
階段の上から三段目であなたを見かけた。

みんなみんな燃やして庭の隅に埋める。徒花に
たくさんの水を遣る。可哀想だからといいかけ
て口を噤んだすべてはこの花のために。

そこはあなたのための温室だから、安心してい
いのよ、と丁寧なスカートの裾が語る。清潔な
へやの清潔なことばはどこか現実味がなかった
からきっと微笑むしかなかった。肯定のことば
しか決して口にしてはならない。

あちらこちらに遍在するあのこにあなたは目を
そらして耐えなくてはならない。その先がほし
いのなら、あるいは先送りとして。視るに耐え
ないその精神性をわたしはゆるしてあげる。ゆ
るすということは
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