通り過ぎる窓/梅昆布茶
 

通り過ぎた町の窓をあけてゆく

すでに知っている町なのに

待ち遠しかった


通り過ぎてしまってから

言いわすれた言葉をくちにする

すでに知っていた言葉なのかもしれないが

もう一度くちにしてみる


さまざまな誰かの想いがそらにのぼってやがて

流れる星となって言葉を降らせるのかもしれない


せめてそのなかに伝える言葉のひとつふたつ

集めるうちには暖まってくるように大事にしまおう


通り過ぎる町の窓をたたく

あかない窓もあるのだが

そっと覗いた瞳があるのならもう一度

それをくちにしてみようか

いつか君に渡せるように









 





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