年明け/梓ゆい
 
口にする事の無かった餅を煮込んで

祖母がこしらえた醤油味の田舎汁と共に

腹が膨れあがるまで流し込む。

青い半纏を羽織り

孫たちを嬉しそうに出迎える祖父の声が

暖かな縁側の中で蘇る。

「今日は、正月なのでおめでとうの代わりにささやかなご馳走を突きながら、静かに新年を迎えよう…。」
笑う写真を残さずに逝った墓前にてを合わせ

大きな花であつらえたブーケを一つ

綺麗に飾り付けた。
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