九十億のそのつぎの/佐々宝砂
 
静止し
原子ひとつの幅さえも動かなくなる冬が
永遠の冬が

九十億の神の御名がすべて記され
ランダムなすべての音のすべての連なりが記され
すべて語られ

語り尽くされた安寧に溶けてゆきながら
私は泣く
宇宙なんか終わってもいいけどさ

たったひとつだけ
たったひとつだけ
語られていない
それ

語られても語られても
語り尽くせなかった
それ

九十億のそのつぎの
それがほしいばっかりに

私は泣く




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「九十億の神の御名」 はアーサー・C・クラークのSF短編のタイトル。
原題は"The Nine Billion Names of God"

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