碧の石/ただのみきや
 

意味や価値より

自分を大切にしていたころ

長すぎる午後に拾い上げた

石は碧を宿したまま

冷たく掌でひろがり

静寂の質量を教えてくれた



いま閉鎖された細胞の墓場で

幽霊は一人芝居を続けている

独白の一つ一つが呼吸を止めて行く

意思は像を失った

湖は指の間からこぼれ落ち

寂寥の啜り泣きだけが耳飾りの碧






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