森の音楽/灰泥軽茶
 
森の向こうから音がする

ボールの蹴る音
グラウンドを走る音
かけ声に混じって吹奏楽の演奏が始まる
たくさんの若い息吹が一つになって
風に乗り
私の耳の奥まで響かせる
純粋で静かに心落ち着かすひととき

気がつけば木々がそよぎ
ぐゆぐゆ森が動き出す
鳥の楽しい声はあちらこちらから
川の流れる水の音とこだまし
私の骨を響かせ
そうした全ての音が一体となって
私はぽっかりと空洞

中から外から
意識は響き共鳴し
広がり広がり
つぶつぶのちりぢりとなって
森にしっとりと溶けてゆく


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