「宇宙」ト呼ばれるものの真実はどこにも無いと思いたい/創輝
 
思うままに筆を滑らせ
文字とも呼べないような形のものを書いた
染みが飛び跳ねて
白磁の肌にぴちゃりと付いた

隣で一心不乱に書き連ねる 亜麻色の髪の少女
真剣な目は手元に注がれ 新たな世界を描き出す

これは 宇宙だろうか

理解されることの無い 美しいような しかし訳も分からず寂しくなるもの

彼女が長い髪を揺らすたび
僕は そのシャンプーの薫りにもどかしさを覚える
宇宙という 途方もなく大きなものは僕らを包み込んでいるというのに

僕らの体の中にも 宇宙と同じように 途方もなく大きなものがあるらしい

僕らがそれについて知っているのは一つだけ

どうやら
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