ジェロニモ/salco
にしわ寄せ
自己存在の後光のごとき
この精一杯な主張を組み立てるのだろう
客の襟足にも触らせてもらえず
床の毛屑を掃き集めて回るだけの
ひとかけらの自負も持てない今ゆえに
突き刺さる悔しさ寂しさを不機嫌に隠した
誇り高き戦士ジェロニモは
ぶざまに長い鼻の上
小さな一対の目にけれど時たま
あどけないプライドと恥じらいがキラリと光る
社会という大工場のベルトコンベアーのエッジで
余人の与り知らぬその夢は
今にも破砕されてしまうかな
青くさい情熱や
生っちょろい義侠心を嗤ってへし折る鋳型の口に
幾度も幾度も呑み込まれ
分別くさいショートカットの
模範俗物が出来上がってしまうのかな
ジェロニモがんばれ
我張れ我張れ
昂然と羽根かんむり振り立てて行け
白人どもの捕虜にはなるな
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