視線/くみ
 
を上げ横を見ようとすると、同じ様なタイミングで恋人も珈琲を飲みながら平然とした顔でこちらを見ている。目の前にあるカップを挟んで視線が絡んだ。
2.3回瞬きをしたのも見る限り同じタイミングだったと思う。視線を外せなかった自分はそのまま恋人の優しくふっと笑う瞳にやられてしまった。
やっぱり恥ずかしくなってぱちぱちと瞬きを繰り返して混乱してしまう。
その混乱を打ち消したくて思わずまだ熱かった珈琲を一口勢いよく飲んだ。喉が一瞬熱く感じたけど、やっぱり自分の顔の方がずっと熱く、さっきよりも赤くなってたのに違いない。

「ん?顔が赤い?」

「なっ…なんでもない」

自分の顔を見ながらくすくすと笑う恋人。心の中が見抜かれてしまったかとちょっと悔しくて、顔が少し歪んでしまう。
今流れてる音楽も、まるで今の自分の気持ちを表しているような曲だった。

「今日はこれからどうする?」

「とりあえず布団にくるまりたい」

本当に今日は秋晴れだ。
布団にくるまった後は2人で何処に行こうか?
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