階段をおりたら/草野春心
 


  階段をおりたら
  つぎの朝がまっている
  固く冷めたトーストをほおばり
  しばらく逡巡した末テレビをつける



  ドアをあけたら、いつもどおりの
  灰色の道路がまっている
  診療所ばかり並ぶ陰気な通りで
  カラスがゴミ袋を突っついている
  イヤホンの中でモリッシーがうたう
  「The boy wih the thorn in his side(心に茨をもつ少年)」
  前にも
  後ろにも
  いやなものだけ立ち塞がって
  苦い気持ちになってしまう



  きみのことを思うと胸が熱くなる
  きみに似ている{ルビ女
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