幽霊が豆腐を食べる/ヨルノテガム
 


一丁、二丁、三丁と豆腐はそこに残り在る。

 しかし、わたしは というと何もかもを忘れている
あれを失って過ぎ、またあれも失って過ぎて、たぶん
失ったことすら忘れているのではっ・・と過ぎ過ぎていった
ふらふら ふらふら 遊んでばかりいられないワ
なにかしなくちゃねぇ
何かしたことはきっと素晴らしく私らしいことだもの
些細で消え入ることにも意義を見つけ出せるかもしれないし
かたちがあれば 目をひらいて見つめるだけで
わたしを懐かしくさせ、再び初めてになって動きだせる
真っ白に冬眠していたんだワきっと




壁面みたく青白い豆腐がみるみる瑞々しさを復元し。

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