季節外れ/くみ
ら冷房を消すと窓際に向かった。つられて俺も起き上がると、恋人は窓を開けて手にしていた何かをカーテンレールに吊り下げようとしていた。
「風鈴?季節的に遅いだろ」
「うん。前に実家に戻った時に昔使ってた風鈴が目に付いたから持ってきちゃった」
その風鈴は、透明な硝子に美しい朝顔の花が書かれていた物だった。いかにも恋人が好きそうなデザインだ。吊り下げられた風鈴はちょうど風が来たようで、その風に揺られてちりんちりん……と良い音が鳴っていた。
「たまにはこういうのもいいでしょ」
ふわりと笑いながら、恋人は俺の隣に座った。
「どした?」
「風鈴ってさ、昔は田舎の家に行く
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)