それぞれの現代詩/左屋百色
 
透明なビルの屋上で俺は点を数えてい
た。雨で視界がぼやけても間違いなく
点を数えていた。三角の屋根の上で私
は線を引いていた。毎日たくさんの線
を引いていた。紙の城の上で僕は面を
つくっていた。不安定なこの場所で面
をつくっていた。

ねぇ君、
今日は今日だけはどうしても君の詩が
わからない。何回よんでもわからない
。わからないまま君に会ったらどんな
言葉をかけたらいい。君の詩は点と線
で面になっているわけではない。現代
詩は算数ではない。それぞれの現代詩
。もう誰も花火はしていないのに夜風
に乗って火薬の匂いがする。

ねぇ君、
今夜もまだどうしても君の詩がわから
ない。わたし感じたことを言葉にした
いのです。

だから
せめてこんな夜は
君の詩に耳をあて
行間に吹いている風の音を聴きたい
それは味わったことのない響き
言葉の影に隠れてゆれている
本当の君をみつけだしたい

ねぇ君、

風が止んだら

もう一度

君の詩に入り込む

君に会ったら

花火をしよう




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