「なにしにきたの」/ホロウ・シカエルボク
 
んてことも
線路を横切って柵を越えた
とりあえず
そんな草原が広がっていた
どうして
どうしてここなんだ
生活と
あるがままの世界の境目は
濡れた草を踏みながら歩いた
線路が遠くなると
もう何も見えなくなった
月が出ていたら
もっと見えたかもしれないが
あいにく
今日は出てくる気はないみたいだった
くらやみだった
くらやみの中を歩いた
濡れた草を踏みながら
あのとき
女の子が穿いてた妙な柄のパンティーを突然思い出したりしながら
くらやみのなかだった
たくさんの虫の声がした
なにしにきたの
なにしにきたの
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